fa-pencil
執筆者
- 業界経験10年
- 30社以上の企業に対してBIシステムの提案や導入を経験
- 現在はプロダクトエンジニアとしてノーコードツールの開発に従事
BIエンジニアは、データ分析に関わる技術を専門とする職業です。キャリアパスが広く、個人的には年収1000万円になるための最適解じゃないかと思っています。
私は4年間、BIコンサルタント兼エンジニアとして働いてきました。非常に面白く刺激がありましたが、通常のエンジニアに比べて激務で厳しい仕事でした。
この記事では経験者である私がBIエンジニアとはどんな仕事なのかを紹介しています。経験者はもちろん、未経験者にもチャレンジする余地のある珍しい職種のため、是非ともご覧ください。
この記事の想定読者
- 未経験の駆け出しエンジニア
- 給料が理由で転職を検討しているエンジニア
- キャリアパスに悩んでいるエンジニア
この記事でわかること
- BIエンジニアの仕事内容
- BIエンジニアのキャリアパス
- BIエンジニアのなり方
目次
BIエンジニアとは
BIエンジニアとは、BIシステムを専門にするエンジニアで、データ分析に関する技術者です。
BIという特性上、経営関連業務の意思決定に関わることが多く、エンジニアの中で比べると経営層に近い位置にいるのが特徴です。そのため他のエンジニアに比べ案件の単金が高く、それに伴い給料も高めです。
似ている業種としてデータサイエンティストがいますが、BIエンジニアとの違いとしては分析自体に主軸を置いているか、分析環境を構築することに主軸を置いているかが違いとなります。
データサイエンティストは分析をする業務になりますが、BIエンジニアはデータサイエンティストはもちろんのこと一般の利用者に向けて分析する環境を用意することが主な業務となります。一般のユーザーが簡単に分析ができるように支援することも業務に含まれ、未経験者の知見が役立つ場面があるため、未経験者が重宝されます。
BIとは
BIエンジニアの業務内容
それでは具体的なBIエンジニアの業務内容をご紹介します。こちらをご覧いただければ、なぜ未経験者でも可能なのかが分かります。
BIツール画面開発
BIエンジニアの業務内容で占める割合が一番高いと言ってもいいのが、BIツールの画面開発です。
BIツールと呼ばれるGUIで操作可能な分析画面構築ツールを利用して、分析画面を構築したり、BIツールのインストールを実施したりします。
未経験者でも問題なく業務できるのはこの業務内容があるからです。ツールの操作方法を最初から知っているエンジニアはいないため、未経験者と経験者の差がないんです。
もちろん、プログラミングができるという前提知識の差はあります。しかし、BIツールの画面構築で重要な事の一つが、分析画面のデザインセンスです。エンジニアはデザインセンスが低いことが多いため、デザインを頑張って作ればお客さんからもすぐに気に入られるので、チャンスがあります。
だからと言って経験者にも別の業務でチャンスがあるためしっかり棲み分けができることもBIエンジニアのいいところです。
DWH構築
DWH(データウェアハウス)と呼ばれる分析に特化したデータベースの設計構築もBIエンジニアの業務の一つになります。こちらは未経験者には難しい業務になります。
通常のシステム開発とは違い、お客様にとって使いやすいデータの持ち方を考えて作る必要があります。通常、データベースを触るようなエンジニアはお客様のことを意識することは少ないため、上流工程を目指したいエンジニアには丁度いい踏み台になってくれます。
ETL開発
ETLとはExtract(抽出)、Transform(変換)、Load(格納)の略でDWHを構築するのに欠かせない概念です。
プログラミング言語を利用してバッチを作成する方法もありますが、近年はETLツールと呼ばれるGUIのソフトを利用してノンプログラミングで構築する方法が主流です。
そのためこちらも未経験者でも簡単にDWHの構築が可能です。ただし、DWHの設計等は知識が必要なため経験者が行います。
各種ツール開発・機械学習など
その他、用途に応じてツールを利用して分析データの作成などを行います。
例えば、機械学習ツールや、RPAツールなどが該当します。
その他
データサイエンティスト同様、データの分析やモデル構築を行うこともあります。
それに関連して、ユーザーへの説明レポートや、分析システムの教育なども行うことがあります。
BIエンジニアの年収
企業にもよりますが、役職がない場合は300〜400万円ほど。
役職がつくと20代でも500万以上と、通常のシステムエンジニアより少し高いです。
データを扱う点や経営層に近く、コンサルティング業務に含まれることが多いため、単金が高くなることから、それが給料にも反映されています。
BIエンジニアのキャリアパス
BIエンジニアになった後のキャリアパス
BIエンジニアが関わる案件の多くに、経営層向けの分析や意思決定の支援があり、経営層向けのコンサルティングパッケージの一つとしてBIシステム構築を売り込みます。
そのため、将来のステップアップ先としてBIコンサルタントや経営コンサルタントの道が存在します。
また、スペシャリストの道としてデータサイエンティストや機械学習エンジニアを目指すことも可能です。
BIエンジニアは様々な有料ツールを利用することが多いため、それを活かしたプリセーラーの道も存在します。
通常のSEと違い、多種多様なキャリアパスが存在しています。
BIエンジニアになる前のキャリアパス
未経験者としては事業会社でExcelを触るのが得意だったり、もしくは簡単な分析業務を行っていたような経験を持っている人が重宝されます。
その他ですと派遣社員だった人や、元SIerやデータサイエンティストから転職する人もいます。
BIエンジニアの必要スキル
BIエンジニアに求められるスキルは、SQL言語を使えることと、データベース関連の知識になります。ツール開発が多いため、それ以外の言語を使うことを求められることは少ないです。
BIツールをスムーズに使えるようになるために、統計学3級相当の知識があると、専門用語が理解できるためよいでしょう。
BIエンジニアにおすすめの本
IT業界の経験がある人におすすめの本。BIの基本が学べます。
データベースに慣れていない人はこの本でBIシステムで必要な知識はつけられます。
SQL文の練習をしたい人はこの本。
IT業界が未経験であれば、この本を読めば、BIについてのとっかかりになります。
BIエンジニアに役立つ資格
BIエンジニアに役に立つ資格は以下の通りです。
オラクルマスター
データベースの基礎知識として。SQLの問題も重要です。
統計検定
グラフの名称や用途について、数値の概念などを学べます。
G検定
機械学習よりの業務にかかわる場合はG検定が役に立ちます
データベーススペシャリスト
オラクルマスターよりも汎用的な知識が欲しい場合はこちらが役に立ちます。
プロジェクトマネージャー・PMP
BIのプロジェクトは10人以内の規模で回す、アジャイル開発が非常に多いです。
意思決定の支援という案件の特性上、明確な成果が出にくいためプロジェクトの推進能力がカギになります。通常のプロジェクトよりも難易度が高いため、プロジェクトマネージャー試験は通常のSEよりも必要性が高いです。
BIエンジニアの将来性
BIエンジニアの将来性ですが、今後需要が必ず伸びます。VUCAの時代と言われる昨今、ビジネスパーソンはより変化に対応できる能力が求められています。
BIはそんな能力を手助けするシステムのため、今後も様々な人にも需要が期待されています。
ただし、非常にツールが乱立している業種のため、ツールの知識だけですと一般のユーザーにも身に着けられる範囲として、BIエンジニアの需要は低くなってしまうでしょう。
SQLやデータベースなどの専門知識や、経営的な視点や、未来を読む力がBIエンジニアには求められます。
BIエンジニアは未経験でもなれる?
BIエンジニアの業務のほとんどはツール開発で成り立っています。そのため、ツールの操作さえできればよいため、未経験でもなりやすい職種といえるでしょう。
ただし、未経験といってもExcelを使いこなせる程度の能力は求められます(ピボットテーブルを理解できるレべル)
その他、SQLやデータベースの知識を持っているとなおよいでしょう。
通常のプログラマーやシステムエンジニアはSQL文が苦手なことが多いため、未経験者とスタートラインはあまり変わりません。むしろ、ビジネスよりの思考が重要になる職種の為、そういった意味で言いますと、異業種を経験されている未経験者のほうが優遇されることが多いのがBIエンジニアの特徴です。
BIエンジニアを退職した理由
私がBIエンジニアを退職した理由はスペシャリストとしての評価がされにくかったからです。売上至上主義的なところがあり、どういった製品の導入を、どれだけ安い原価(派遣社員や新人など)を使って導入できるかが重要視されていて、技術的に新しいことに興味を持つ人は少なく、モチベーションが続かなかったため退職を決めました。