執筆者
- SIerで4年間勤務。28歳で管理職。
- 30社以上の企業に対してBIシステムの提案や導入を経験
- 現在はプロダクトエンジニアとしてノーコードツールを開発
この度4年間勤めたSIerを退職しました。
28歳で管理職と、出世街道を突き進むように頑張って働いてきましたが、もう我慢できず辞めてしまいました。
色んな理由がありますが、一言で表すとつまらないから辞めました。
SIerと言っても色んな企業がありますし、人によって適性が異なるため、SIerが合う人もいます。
そう言う人や企業には申し訳ないですが、私には全く合わず、とてもつまらなかったため退職しました。
この記事の想定読者
- SIerをつまらないと思っている人
- SIerに入社しようとしてる人
- SIerの企業
この記事でわかること
- 私の実体験を見て反面教師
- SIerの辛いところ、そこを通して得られるもの
- SIer中堅社員の離職理由
SIerのつまらないところ
人がつまらない
技術者がいない
SIerはIT企業であるはずなのに技術者がいません。基本的に技術者は外部から派遣社員を調達してきます。
技術者=作業者という意識が社内に浸透しており、作業者は下に見るような人もいます。
しかし、調達するSIerの社員や派遣元の営業マンなど登場人物全員が技術力がないため、技術力のない一般人が派遣されます。
プロジェクトの人員が全てモノを作ることができない人間なので、ほとんどのプロジェクトで問題が起き、私のようなモノを作ることのできる正社員がお尻を拭くような構図がつまらなかったですね。
向上心がない
そうした技術力に対する課題を解決するため、技術力向上勉強会が開かれます。しかし、実態は技術力のない人が集まってお遊戯会をするだけなので、何も力がつきません。私のような技術者に負荷をかけて教育しろと言われ、サービス残業で勉強会をやらされます。
しかし、出席者は皆技術に興味がないため、能力は伸びません。
なぜかサービス残業の怒りを私にぶつけることも...。
責任の押し付け合い
何か問題が発生すると、問題解決の前にまず誰のせいかの話が始まります。部下は都合よく記憶がなくなり、上司はロジカルに責任をなすりつけます。
問題が解決したらいち早く報告するために、色んな人が話を聞きにきます。
報告した人は評価が上がります。
仕事内容がつまらない
調整事ばかり
SIerの仕事は調整がメインです。
スケジュールの調整、人の調整、仕様の調整...など。
常にExcel、PowerPoint、Wordと睨めっこです。
- Excelを開きながら、メンバーの進捗を聞きながら進捗を更新
- PowerPointで顧客への定例報告の資料を作成
- Wordで契約書などの資料作成(名前書いたり印刷してハンコ押したり)
これらと並行して顧客や営業と電話、メールのやりとりで1日が終わります。
似たような業務の繰り返し
この業界はプロジェクト業務のため、やる仕事は毎回違うように見えますが、作るものや規模が違うだけでやることは同じです。
クリエイティブな仕事が好きな私にとって、同じことを繰り返すことはつまらないと感じてしまいました。
具体的な業務内容としては、以下です。
- 受注活動
要件を聞いて提案書の作成2〜3個作ると作るシステムのパターンは一緒だからフォーマットに沿えば2〜3日で作れる。 - 見積もり作成
客が言ってくるパターンは大体決まってるから柔軟にできるように機能ごとに金額出す。 - スケジュール作成
ここまでである程度スケジュール作れてるから、具体的な作業落とし、作業員の調達、wbsの作成 - プロジェクト実施
計画に沿ってプロジェクト推進。毎日話したくない人と話し、毎週客への報告書作り。
わがまま部下・上司のよいしょ業務
平気でできない、わからない、忘れました、消えました、無くしましたを言う部下。
上司は進捗が進んでいるかどうかしか興味がなく、気になることがあると時間を取られてしまうため、上司が気持ち良くなる報告内容を準備。
プロジェクトが円滑に進むためこれらもリスクと考えて運用する。なんのために仕事をしているのかわからなくなります。
会社がつまらない
あいまいな評価軸
上司は自分より上に立たれると困るため、自分より下になるように評価を調整します。
会社としては、原価が高くなると困るため仕事ができるようになると早々に残業代の出ない名前だけの管理職にします。
年始に評価面談で目標を立て、それを達成したとしても、謎の圧力で評価が下げられ、昇進できません。
人によって変わる待遇
市場が落ち着いているSIerとして、売上よりも利益率が重視されます。そのため、プロジェクトごとの原価率を下げた方がいいので、給料の低い若手や中途採用未経験をいかに効率よく回して業務を行うかがカギです。
そのため、そういった若手や未経験者の扱いは優しく、どこにリソース配分しても一緒なので、プロジェクトの選択や異動は比較的聞き入れられます。
しかし、中堅社員には厳しく、売上を立てる傭兵としていろんなプロジェクトに責任者として割り振られ、要望を聞き入れられることはありません。
つまらないSIerで得られたもの
マネジメント能力
スケジュールの調整や課題管理、プロジェクトの推進力といったマネジメント関係の業務。
プログラマーだった私にとって、SIerのメイン業務であるマネジメント業務は、とてもためになりました。
20代の後半でこの能力と経験をたくさん得られたのは非常によかったです。
転職活動の際にも、この能力と経験については非常にウケが良かったです。
コミュニケーション能力
SIerでは様々な人とコミュケーションを取ります。
社内のメンバーやマネージャーはもちろん、営業や経理、人事や管理部門、顧客の様々な役職、ポジションの人たち。
いろんな人がいます。いい人もイヤな人も。
こんなに様々な人とコミュニケーションを取れる職業はなかなかないと思います。
プレゼン力
コミュニケーション能力に紐づいて、プレゼン力も向上しました。
立場の違う相手が何を求めていて、どういう意図で話しているのか?を考えて適切に物事を伝える力がつきました。
お金を稼ぐ力
SIerでは、様々な顧客に対しての受注活動から納品までのゼロからお金をもらうまでを一貫して行えます。シンプルにお金の稼ぎ方がわかります。
顧客は何を求めていて、どういうことにお金を払うのか?
お金をもらえることやモノをどうやって安く仕入れるか?
こういったスキームは今後社会で生きていく上での自信につながります。
つまらないSIerから転職した方法
マネジメント能力は今後一生使える能力で、技術力もあり20歳後半でマネジメント経験がある人は市場では希少だと思いましたので、とにかくそこの経験とアピールできるだけの成功体験を積むように意識しました。
さらに、いろんな立場の人と関われることを活かして、コミュニケーション能力やプレゼン力向上のため、相手の仕事についてネットや本の情報、時には本人から聞き出して把握するようにしました。
転職活動については以下の記事を参考にしてみてください。
つまらなくてもSIerで働く利点は?
キャリアパスの中継地点として優秀
IT業界のキャリアパスの中継地点として非常に優秀だと思います。
システムを触ることはできるので、技術者として力をみがくもよし。
客の課題解決に興味があるなら、コンサルティングに手を伸ばしてみるのもいいです。
特定の業界に興味を持ったのであれば、その異業種に移動するのも可能です。
さらに、SIerは人のリソースが増えればお金を稼げる仕組みなので、出戻りすることも可能です。その際にSIerの経験があれば簡単にSIerへの転職もできるでしょう。
安心して別の業種へチャレンジできるところも優秀です。
お金を稼ぐ自力が鍛えられる
SIerでは受注から納品まで一貫して仕事ができるため、お金を稼ぐための業務全てを見ることも経験することも可能です。
この力はフリーランスとして働く際にも生きてきます。
お金を稼ぐのは社会において一番重要なことなので、この力があるだけでどこに行っても重宝されます。
まとめ-SIerはつまらないのか?
SIerの面白いところは仕組みを考えるところだと思っています。
ビジネス寄りの思考を持っている人にとっては非常に面白く、やりがいのある仕事だと感じました。
クリエイティブ思考の人にはかなり厳しい業種ではないかと思いますが、勉強にはなると思います。
SIを行っている企業は未経験採用に力を入れているところも多いため興味のある方は一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか!